Friday, November 18, 2016

Ironman Los Cabos 2016

Ironman Los Cabos 2016の参戦レポートです。 

第一部はコースや大会について、第二部は私自身のレースレポートです。



【第一部:Ironman Los Cabos について】

-空港-
Los Cabosはメキシコの太平洋側、Baja Californiaという南北に細長く位置する半島の南端の町
Ironmanシリーズは今年で4回目となる。最初は3月だったけど去年から10月の開催に変わった。

エアラインはUnitedを使ってNYからHouston経由。往復しっかりBike料金200USDずつ取られた[150でないの?!]と言ったら国際線は200ドルとの事。UAAAもしっかり課金するので次回は違う会社にする。

近くの空港はSan Jose del Cabで、開催地のLos Cabosへは車で20分くらい。
空港からのTaxi組合?による白のTaxiばかり。空港出口で配車してくれる。セダンとVanがあるのでBike BagがあったらVanを配車してくれる。料金はHotel Zoneまで20USDくらい。USドルで支払い可能。


-ホテル-
Hotel Zoneが大きなホテルが並ぶエリア。Ironmanビレッジは代々Hotel ZoneのどこかのHotelで、去年はHoliday Innだったので宿はHoliday InnをとったがいつのまにかBarceloなんとかというホテルに変わっていた。
Host Hotelというのが決められていて、BikeメカニックとかT1へのシャトルバスはHost Hotelだけと言われている。Ironman Cozumelもそうだけど、SwimスタートとT1IronmanビレッジやT2やFinish Lineとはかけ離れているので、Bike Check Inとかレース当日の朝は現地に向かうには足がいるのだ。なのでシャトルバスがあるのはすごく便利。

Holiday InnHost Hotelでなくなってしまったのでレース朝はどうしようかなぁと思っていたら、Athlete Briefingで誰かが「最初はHoliday InnHost Hotelだったんだからシャトルバス用意してほしい。」と言ったら、あっさり大会責任者が「OK。」って承諾した。本当かなぁと疑っていたけど、土曜のBike Check Inで時間とおりにバスが来て、レース当日も大丈夫だった。

ホテルの場所はHotel Zoneの一番端にあって、Hotel Zoneの中ではFinish Lineからは一番近い。All Inclusiveで多分一人一泊100 USDもしない食事はそれなりのクオリティだが特にレース朝やレース後にすぐに下で食事ができるのはありがたい。部屋が遠いので2つベッドがある近いとこに変えてってお願いしたら追加料金なしで変えてくれたりもした。Over all、悪くないホテルであった。
唯一言うならば、ダンナ(Lee)が「ビールがTecateしかないのは非常に非常に非常に(3回言った)残念。」とぼやいていた。


IronmanビレッジとBibピックアップ-
Barceloホテルのイベント会場に全て設置されている。
Ironmanショップやお店は少ないけど、CO2やNutritionやタイヤやチューブなど必要なものは大抵揃えられる。
今年のレースはHalloweenと重なっていることもあって、大会は全てHalloweenがモチーフ。Bibピックアップのブースですらカボチャのお化けがBikeに乗ってる絵が。メダルとかトロフィーまでカボチャじゃないだろうな、と嫌な予感。

まずはBibを取りに行くと、なんと番号はアマチュアで一番の101番!
が、何故か印刷されてる名前はPedro。ん?ん?ん?
どうやら番号と名前がめちゃくちゃになっているようで、ブースの人も「ごめんね~。これがメキシコなのよ~。」とクスっと笑っていた。そういうとこが大好きだ。
ただ、タイミングチップはPedroだと困るので、ちゃんと自分の名前になっているのかをレース前日も念のためチェックしておいた。

Goody Bagは大きいほうのデザインのIronmanバッグ(NY Ironmanの時と同じやつ)。このデザインは他の大会のよりもずっと使いやすいのでナイス。

ちなみに本大会、Athleteパケットの中には本人以外がT2からBikeを取り出せる券が無かった。唯一Leeに任せられる仕事がこれで無くなった。
がんばれPedro!



Practice SwimBike試走-
Practice Swimは金曜土曜の朝、スイム会場のPalmilla Beachに設定されている。7:30~9:00am
Hotel Zoneからは海岸線をそのまま3マイルくらい行けば着くので、金曜は軽くジョギングで現地へ。路肩はあるがUp Downと交通量ありなので注意要。
Taxiなら大きなVanで片道20USD250pesos帰りもそこでTaxiが待機してるので戻りも問題なし。

海は入り江なので穏やか。水温はむちゃくちゃ暖かい。多分84,5F°(29)
年によっても違うようなので大会のFacebookページには「念のためウェット持ってきたほうがいいよ~。」と書いてあったが、今年は絶対ウェット無し。
魚のラインアップはCozumelのほうが勝ち。でも透明度も良くちっちゃいRay(エイ)なんかが泳いでるのも見えたりした。(金曜でビーチの騒ぎに懲りたのか土曜にはすっかり姿を消していた。。。)

Bike試走はレースコースはお勧めしない。乗ってる人もいたけど、交通量が多いしいろんなものが路肩に落ちててパンク続出(と乗った人が言っていた)。レースの前にはお掃除車が路面を掃きに回るそうだが、本当かなぁ。
私は適当にLos Cabosの街中のRunコースを乗って、Bikeの調子を確認した。街中だけど結構穴ぼこがある。あとスピード止めのBumpがあるのでかなり注意して乗らなければならない。
路面がガタガタだったからか試走の途中でサドルのねじが緩んでカチャカチャいいはじめた。偶然そこにどっかのBikeメカニックのテントがあって(MexicoTriBikeTransport)、お兄ちゃんがボトルケージまで外してしっかり直してくれた。感謝。レース中でなくてよかった。

今回は自分で搬送だったので、Trekスピコンを自分で分解するのは初めてだった。メカにとても弱い私には正直レース以上のチャレンジ。
案の定、中に詰め込まれていたワイヤーをハンドルStemに戻すも何故か前輪のブレーキがかけた後戻らなくなった。スピコンはブレーキの調整が面倒で特に後輪は下のカバーをカパっと開けてからまたワイヤー留めを外して、等々しないといけないのだ。幸運には後輪は問題なかった。前輪はちっちゃい穴から細―いドライバーで閉めたり緩めたりできるので、それを試したらまあ何とかなった。やれやれだよ。
そんな事もあるので、メカニックに持ってく事も想定してフルの時は試走はレース2日前には済ませることにしている。


-ギアチェックイン-
他の大会同様土曜にはBikeギアバッグをチェックインしなければならない。
約束とおりバスがきたので、みんなでBikeとバッグを抱えて観光バスに乗り込む。
すっごいコンパクトなT1
今大会、70.3AquaBikeも合わせて1000人もいないという話。Ironmanビレッジに張り出されていた参加者名簿によると私のAge11人のみ!どんだけ人気ないのだ、このレース。

砂利の敷地にバイクラックが設置されていて、すぐ横はビーチ。Bikeを押して歩くときでも砂利の上をそのまま歩くとブレーキのところに砂が溜まるので、持ち上げて自分のラックまで持っていく。
レース当日はカーペットが敷かれるはずだが、多分カーペットの上にも砂が散乱することになるだろう。

BikeのギアバックのみT1のラックにかけておく。T1T2が離れているレースでは入れ間違えはDNFを意味する何度も確認してT1を後にする。
T2へはT1からシャトルバスが直接行ってくれるので、それに乗り込む。
T2Runギアバッグを置いてチェックインは全て完了。※レース朝T2へのアクセスは基本できないと思ったほうが良い。





Swimコース-
ビーチエントリーの1周回コース。
自分の速さに合わせて並ぶRolling Start

四角に泳ぐけどEntryFinishがすこし離れている。直線コースなのでブイはとても見やすい。
曲がる箇所にはボートやカヤックがいるけど、直線部分の途中はそんなにいなかったように思う。緊急事態時はとにかく次のブイまで泳ぐしかない。
流れは戻りの最後の直線はAgainstで、しかも浅瀬なので影響も受けやすい。ただ、今年は風や波が無かったので、ドンぶらこと揺られることは無かった。

Swimフィニッシュにはシャワーも用意されているが、ゆっくり浴びてる時間はもったいないのでみんなササッと通り過ぎるだけ。その代わり足を洗う水ボトルをギアバッグにいれておくとよい。


Bikeコース-
Los Cabosともうひとつのリゾート地Cabos San Lucas の往復を2周回するコース。
海岸沿いの幹線道路(高速道路?)の片側をレース専用に遮断しているので、車の心配をしなくても良い。基本Rolling Hillが延々と続くコースで、Los CabosCabos San LucasLong Hillがそれぞれある。
とても風光明媚で、片方は美しい海、もう片方はサボテンが生えてる砂漠といったおもしろい地形を楽しむことが出来る。とくにSan Lucasに近い小高い丘から突然見えてくるPlaya del Amorの風景はまさにBreath Taking


車からだから今一つだけど…


試走したLos Cabosの街中より実際のレースの路面のほうがきれい。ゴミや破片とかも落ちていない。というか一車線そのまま使えるので割と気ままにコース取りして乗ることが出来る。人数も少ないのでドラフティングとか進路妨害する事もない。たまに誰も見えないときすらある。

路面の一部はゴツゴツしたアスファルトで舗装されていてきれいではなるが滑らかではない。微妙に失速。
あと、(大体は撤去されていたが)居眠り運転よけの小さいBumpが並んでいるところが数箇所あり、見落とすとかなり危ない。

Hill1(Cabos San Lucas)は9Kmくらいのロングヒルクライム。斜度は2,3度くらいなのでさほどきつくは無い。が、長い。
Hill2(Los Cabos)は空港へ向かう4Kmくらいのヒル。斜度は多分3,4度くらい。これが短い割にはガツンとくる坂。
WebサイトのBikeコースのElevation Mapは去年のものなので合っていない。自分でMapmyrideで作ってみたらTotal Elevation6,124feet(1,868m)だった
ちなみに毎年コースが変わってる。なので来年はどうなるかわからない。

時間の関係もあるであろうが、2周目の行きはHead wind葉っぱのある木が無いのでどれくらいなものかは計りかねるが、みんなここで減速したとの事らしい。

コース上のサインは非常に不親切で、Distanceの表示は無し。でも行った道をそのまま折り返す2周回なのでだいたいで距離は掴める。
ダメダメだったのは、折り返しの時にサインがはっきりしてなかったり人が立っていなかったりしてクリアでなかった事。特に1周目の折り返しと2周目でそのまま進むポイントで、進む人(70.3の人)が混じっていたのですごくわかりにくい。後から来た人が曲がったので、ようやくフルは曲がらないといけないと分かったけど、これそのまま行ってそのままT2まで行ってしまいそう。
実際Awardで張り出してあったリストを見たら、コースアウトでDQした人が結構いた。これは是非とも来年改善してほしいと思う。


Runコース-
Los Cabosの街中と橋を渡ったMarinaの公園を走る2周回コース。
橋が一番の上り坂だけど、意外と短い。それより街中のUp Downやデコボコした舗装に気が抜けない。
あと、暗い。陽が落ちたら気温が下がるのはいいけど、コースが暗くて足元すらよく見えないところがある。特にMarinaの中は曲がるところが多いし舗装してないところもあるので気が抜けない。
しかし、Over allそんなに難しいコースではない。
こんな感じのランコース


Finishライン-
市庁舎のある広場がFinishラインで、最後は街中の花道を通ってゴールするので気合も入りやすい。(が上り坂でもある)
アイスバスも子供プールに用意されている。ご飯はピザとかフルーツとか他の大会と似たり寄ったり。
ちなみにフィニッシュ時の名前を読んでくれるアナウンスはスペイン語ではなくて英語。

FinishラインからT2までは“普通に歩けば”10分くらい




【第二部:レースレポート】

今回Los Cabosを選んだのは、秋口のレースで時期が一番ちょうど良かったから。
昔村越さんのレースレポートを見させていただいて、うーん大丈夫かなぁとも思ったけど4回目ともなればもうこなれているはず、と思い申し込んだ。

過去の記録をチェックするも毎年コースが変わっているので、出場者のタイムとコースそして自分のパフォーマンスがどこら辺かが見極められない。
そして、WebサイトでAthleteリストを公表してないのでどれくらいの出場者で誰がCompetitorなのかも情報なし。
なので現地にいって初めてこんなに小さなIronmanというのを知った。

そんな事実が分かる以前に、とりあえず今回の目標を設定した。
割とタフなコースではあるもののLake Placidでサブ12だったので、今回もサブ12では終わらせたい。プラス表彰台(Top3)も。
1ヶ月前のAtlantic City 70.3では130人くらいのAge GroupIronmanシリーズでは初めて4位の表彰台に上がらせてもらったので、今回のフルでも上がってみようと思った。
あと、AC70.3では表彰台に上がったのは全てのAGで私以外全員白人だった。なのでメキシコの地でも日本人ここにありというのを見せたい。なーんて事は全く思っていなかったが、まあどんな大会でも表彰台に乗るのは特別感があるっていうもんなんだよ。

 **** **** ****

今回の旅のお供はダンナ(Lee)、と同じNY在住でトライスロンにかなりな情熱を抱いているTomokoちゃん。

Leeは全く興味が無いだけでなく、妻の心配すらしない男。「トラックして途中で順位を教えろ。」と頼んでも「トラックの仕方わかんなーい。」と言うのでAthlete Trackingの仕方を教えるが、変な情報をもらっても困るので、もっと簡単なBikeピックアップの役割を渡した。が、それもやらずに済んだ。
「こんなに気温が高いのに熱中症で倒れるとかDNFとか心配でないの?」と言ってみるが、「でもこれまでにレース経験してるぢゃ~ん。」と恐ろしいくらいの余裕。
じゃあ、一体ダンナLeeは何を? それはランコースに入ってからの‘エピソード’があるのでお楽しみに。

Tomokoちゃんは火曜から現地入り。
現地で同じホテルに滞在してるLAからの軍団とお友達になっていろいろ情報を仕入れている。しっかりしたもんだ。こういう人を‘海外で生きるたくましい日本人’と言うのだ。
LA軍団はとてもフレンドリーで後から来た私でも普通に仲間に入っても全く違和感が無い人たちだった。その中の一人RastyおじさんはFire Fighterでコナアスリート。来年定年するそうだが、定年後はトレーニングに明け暮れる日々に違いない。
Tomokoちゃんは今回が2回目のフル。2年前の嵐のLakePlacidがデビュー戦だった。低体温症でもうダメかと思ったAid Stationではゴミ袋を見つけてそれをかぶってBikeに乗Runもしっかり歩かずに完走したド根性アスリートなのだ。
そして今回は体感気温100F38℃)近くまで上がる酷暑レース。一層のド根性ぶりが期待できる。

あと現地では同じTimex Factory TeamJimiにもEXPOで会えた。Jimiはミシガンからの遠征でコナも何回か行ってる大ベテラン。今回の目標はと聞かれたので、「On podium」と答える。「勝算は?」という問いに「At least sub12。」と答える。JimiはもちろんQualify狙ってるはずだ。
奥さんは背の高い美人で見た目も超アスリート。てっきりトライアスリートかと思ったらテニスしかしないそう。とにかくすごく素敵なご夫婦だった。

LA軍団といいJimiといいレースに行くとオンサイトでは新しい出会いがある。
これも遠征の楽しみのひとつだ。


さて、第一部でBibの印刷が変だったと説明したが、実は名前をネームタグで印刷して上からその場で張ってくれたそうだ。でも害はないしPedroになる機会はそうそう無いのでそのままPedroで通した。意外と気に入っていた。
Bikeラックにも#101 - Pedroの名前。片方下がってズっこけてるとこも気に入った。
Pedro明日はがんばれ。Pedro今日はいけるぞ。Pedroまだまだ走れるはずだ。」と事あるごとにPedroを励ました。
ずっこけPedro

前日はドリンク作って早々に就寝。
Swimスタートは7:30amと遅いのでHotelから出るバスも5am出発くらいで余裕。なのでがっつり4amまで寝る。
今回初めてカフェイン断ちしてみたので、レース朝もいつものコーヒーは無し。トイレも普通に行けたし実はコーヒーなんて無くてもいいのかもしれない
何もすること無いので、一番の5amのバスに乗る。

T1に着いてやることは、まずTubularに空気を入れること
人数少ないので周りにポンプ持ってる人もいなくて仕方ないのでメカニックのとこに並ぶ。
いつもは120入れるけど暑いから110にしておこうと思い、110って英語で言うが通じない。なのでCiento diezというが何だか適当に120くらいまで入れられた雰囲気。レース中のFlatが頭をよぎるがまあいいやとGraciasと言って自分のラックに戻る。

Flatと言えば、一か月前のAC70.3でこの7年のレース経験で初めてFlatを経験した。しかもTubularなのに。AC70.3の前にTomokoちゃんに「Tubularだからパンクしたことないんだよ~。余裕~。」と言っていた矢先にまさかの開始6イルでのFlat。焦るな焦るなと言い聞かせてはめてみたTubular意外とすぐにはまり均一になるように位置も調整できる余裕もあった。多分ロスは5分くらいだったはず。なので又なってもきっと大丈夫。(が、100Fくの炎天下でタイヤ交換はできればしたくない...。)

運は天にまかせ、スタートまでにやることをやる。
ギアバッグ一応チェック=>もう一回トイレ=>下痢止めのむ=>軽いスナック=>水飲む=>ゴーグルにつば=>スタート

そうこうしてるうちに朝日はすっかり昇り、プロのスタート。
有名どころではAndy Pottがいた。みんな70.3なのであっという間に帰ってきた。プロがみんなBikeいった後にアマチュアのスタート。
最初は70.3。その後フル。フルだけ残されてみるとすんごい人数少ない。

なんでCozumelはいっぱいいるのにLos Cabosはこんなに違うのかなぁと考えたが、ウェット無し+暑い+ヒルのレースは確かに普通だったら忌み嫌われる3点セットだ。

が!Pedroには問題ないのである。

だって今日は‘本気の’平泳ぎだからウェット要らず。暖かい水、最高~。
暑いのも大好き。寒いレースはトライスロンじゃない。
問題はヒルコースだけど、だからといってフラットコースが断然人より速いわけでもない。
私のようなどこにでもいるAthleteDisadvantageAdvantageに変えてこそチャンスが生まれるってもんなんだよ。(とSwim Start前に自分を奮い立たせてみたりなんかする。笑)


(前振りが長かったが)いよいよスタート。
スイムはこれまでいろいろ泳いだが、一番気持ちの良いコースだった。暖かい、ウェット着てないから窮屈でない。何よりも周りに人がいないからのびのびと泳げる。平泳ぎのキックも誰にも気を使わなくたっていいんだ。あー、もう最高!
と、いささかリラックスしすぎな感。

そうこうしてるうちに最後の直線コースになり、いきなり減速しはじめる。海の色も濃い青からマリンブルーへ。そうだ、ここは浅瀬で流れも波も強くなったんだ。
平泳ぎゆえ忠実にブイの並ぶ直線沿いに泳いでいたが右側向こうに何人か泳ぐ別のラインが。「うーん、あっちのほうが流れがいいのかなぁ。」とは思ってみるものの確信も無いのでそのまま自分のルートを泳ぐ
Swim Finish近くはこれまた強いAgainst最後の力を振り絞って!と思いクロールに切り替えるが、あんまり進まない。無駄な努力はやめよう、とまた平泳ぎに戻る。
なんとか終わった。時計を見たら1:301:20くらいで終わりたかったから、上位は厳しいかなぁと思った。


T1テントに行ったら誰もいない。
本当に誰もいないのだ。「あっちゃー、そんなにスイム遅かったか~」と改めてガックリしたが、その代わり超超手厚いT1サポートが受けられた。
ボランティアの高校生たちが水を持ってきて足にかけてくれるわ、日焼け止めのスプレーを背中や腕にかけてくれるわ、スイムスキンとかゴーグルをバッグにつめてくれるわ、ヘルメットもって待っててくれるわ、であっという間に用意できてしまい逆に何かもっとやることなかったっけ?って不安になるくらい。

そしてBikeラックには私のTrekだけがポツンと置き去りに。
101番だもんなぁ、そりゃあご近所はみんなとっくに行っちゃってるよ。でも、いいのさ。陸でがんばるぜい。


長い長いバイクパートが始まった。
データ好きのトライスリートには信じられないと思うかもしれないけど、これまでレースでは20ドルくらいのStop Watch付のTimex時計だけで、Power MeterHRどころかCadenceやSpeedすらも見てなかった。そんなPedroが今回はGarmin920Power Meter付きというなんともハイテク装備に挑戦。
いろいろ見るのは面倒なので最初はHRだけ見ていたが、“今回はもうデータ採取という目的でいいんじゃね”とそのうち見るのをやめてしまった。結局データをいつも見てるのは面倒なのだ。

補給。
今日はこれまで経験したことない暑さなのでelectrolyte(電解質)カプセルをしこたま搭載してきた。あと暑いから今日のNutritionはいつものCarboProにオレンジジュースでなくてレモン汁とGataradeから出てる粉末のelectrolyteを溶かしたもの。しょっぱすっぱくて個人的には新開発な味だと自画自賛している。
あと水分は水よりゲータレードを飲む事を心がけた。(が、暑すぎて氷水のほうが結局体にすんなり入っていった)

1周目の往路。Cabos San Lucasに近づいてきた。
カーブを曲がったら左のシーラインのその先に見える景色。それはPlaya del Amor。その名も‘恋人たちの海岸‘。
大胆に切り立った岩が並ぶその間に穴があいた岩がある。Bikeで走っているときに突然見えてくるその景色はとてもダイナミックでこれまでの他のレースでは見たことの無いショット。
正直ここだけでこのレースに来て良かったって思った。まさに‘感動’した瞬間だった。この感覚は初めてのTriathlonースだったNYC TriのときにDown Hillの途中でHudson RiverとManhattanのDowntownが突然一面に広がって現れたときと同じものだった。それほどここは強烈なイメージとして焼きついた。

いい気分でBikeに乗っていると、コースは右折して山のほうに。
あー、きたきた9kmHill Climb
幸運にも路面は滑らかで傾斜も実際乗ってみると悪くない。Outerでもまわせる(先の事を考えInnerにしとく)。
長くてSpeedが出ないのでいきなり体中が暑くなる。汗がダラダラ落ちてきて顔がむちゃくちゃ暑い。まさにジリジリという表現がぴったりのコンディション。
左のDown Hillでは同じくNYからのChrisが「Yaby~」と言って猛スピードで下っていく。そのうちTomokoちゃんがYabyさぁ~ん」と叫んで下っていく。いいなぁ、早く下り坂に行きたいなぁ。あとどれくらいで折り返しだろう。カンカンに体が暑くなったそのときにエイドが見えてそこで初めて顔と体中に氷水をかけた。ジューと湯気が出たかと思うくらいだ。マジで生き返った瞬間。そうこうしてるうちに折り返し地点。
プハァ~、やっと1/4終わった。

1周目の終わりに待っているのはHill2
この坂は曲者で、Briefingでは1kmって言ってたけど全1kmじゃないぞ。ぜんぜん折り返しも見えてこない。そんでもって、さっきより暑い!(お昼になってきたので気温がもっと上がってきていた)

ここからはメンタルの問答が始まる。Should be harder? easier? フルがHalfとかOlympicと違うところはここら辺の駆け引きだと思う。ガシガシ行きたいところだが怖い。でもいつも結局最後はデロデロで遅くなるから今のうちにがんばっておいたほうがいいのでは。等々を考えるようになる。
今日はがんばると命取りだから抑え気味でいくことにした。やっぱりStartしたからにはFinishしたいしFinishしなければ掲げた目標なんて成し遂げられない。

Hill2の折り返しにあるエイドでは水かけまくってGaterade飲んで呼吸整えて、と数分間休憩していった。

2周目は行きは向かい風になる。
気温はますます上昇し、寄らないエイドは無くなった。エイドも気温の上昇につれて段々サポートがエスレートしててきて、最初はドリンクのボトルで水をかけてくれたりしたけど、そのうちボトルのふたを開けてジャーとかけてくれるようになったそのうちガロンの上を切った小バケツみたいなもので頭からぶっかけてくれるようになった。ボトルケージが空いていたら水かゲータレードが聞いてセットしてくれたりもした。
参加者が少なかったから一人ひとりにこんな手厚いサポートができたのだと思うが、疲れていて笑顔もまともに見せれなかったのにここまで助けてくれたボランティアの皆さんにはほんとうに感謝だ。

Hill1完了。あとは戻るだけ。
Hill2までようやくようやく辿り着いたが、そこからの道のりは完全に死んでいた。全然脚が回せない。「Do your process  Do your process」と言い聞かせながら黙々と坂を上がるが、あまりの遅さにBike Supportのスタッフがオートバイから「Are you OK?」と何回も声をかけてくる始末。「I am fine」と答えてわっせわっせととにかくこぎ続けるが、あまりのありえない減速に自分でも笑ってしまう。

折り返しが見えてエイドもそこに。
最後くらいは我慢してDownhillに向かおうと思ったが、ここで水かけて休まないと絶対死ぬ!くらい追い詰められていたので、やっぱり止まって水かけて冷たいゲータレード飲んでブルブルブルって犬が水かぶった後みたいに頭をブルブルしてから折り返した。

はぁ、やっとBikeが終わったよ。
実はこのBikeコース6マイルくらい短かったらしく、私はGarminなんて見なかったのでレース後に知ったがTomokoちゃんは距離足りないのでBike返して!ってT2で言ったそうだ。返してもらったらどこ乗りにいくつもりだったんだろう。(笑)

T2もテントにも誰~もいない。
至れり尽くせりのサポートを受けながらRunに。
時計を見たら8時間超えていた。ムムム、今日は12時間切れないなぁ。。。


まだ陽が高い。
日没は5:30pmくらいなので2周目には陽が落ちてすこし涼しくなるはず。それまでは何とかだましだましでも持たせなければ。
エイドは1km毎にあって、氷水も氷コークも氷ゲータレードも用意してくれている。ここでも毎回氷水を浴びる。顔を冷やさないといけないからサングラスはそもそもかけない。そのかわりキャップを深々と被って日差しをよける。

ランコースでは折り返しで他のCompetitorが見えるのでお互い”おばちゃんっぽい”アスリート同士は顔を見て同じAgeかどうかを探り合う。特にいいスピードで走ってる人を見るとちょっとした火花も走る(気がする)。
Bikeチェックインで少し話したUtahから来たSusanは私の番号を見て速攻で「どのAge?」と聞いてきたが(彼女は2つ上のAGだった)、Susanはとんでもなく速い人だったのでコースですれ違っても全然火花は散らなかった。

HotelZoneのUpDownなコースを往復してT2あたりに戻ると今度は例の橋が見えてきた。
すごい上り坂に見えるが走ってみるとそうでもない。Syracuseのランコースの坂のほうが5倍くらいキツイ。
橋を渡ると今度はMarinaのある公園のコース。
途中舗装されてないことろが数か所ある。明るいうちはちょっとしたトレイル気分で息抜きになるが、暗くなったら最悪。足元が本当に見えなくて危ないといったらない。
あと、困るのがコースで誰もいない事。これまた暗くなったらもう最悪。自分がコースアウトしてるのかどうかもわからない。2周目ですっかり暗くなったあとで、公園内でコースだと思っていたところでいきなり立ち入り禁止のテープが出てきて、しばらく立ち往生。キョロキョロしてたら向こうのカフェほうで懐中電灯を振ってくれたので、そっちに向かって行った。なんか遠回りしか感満載だったが、見たことあるコースの戻れたのでとにかくホッとした。

2周目になると少し涼しくなったので走りやすくなった。
このレース、リベラルなので街の人たちがコースの中で水の袋とかを渡してくれようとする。
水かぶりたい!って思ったけど、ここは我慢。なぜならIronmanは最近アスリートが外部からサポートを受けることにとても厳しくなっているからだ。
このローカルのかわいいチビっこたちが「Si Se Puede!」なんて渡してくれる水なんかもらったら終わりなのだ。

2周目のHotelZoneを走っていると横から嬉しそうに走ってくる男。
そう、Leeがここで登場してきた。がんばれ~と頭をトントンとするが、↑の事情で近寄ってほしくないので、「I'm OK. Don't touch me.」とつれなく言ってそのまま走ってく。

橋になる前にまたまたLee登場。
一緒にコースで走ろうとするがすぐさま「Get out the course!」って叫んで手であっちいけのジェスチャーをした。Leeはすぐコースから出たがその時後ろからピーーーとホイッスルが。
スクーターに乗ったマーシャルだった。スピードを緩めてしっかりと私の番号をチェックしてく。

「...あーあ、もうDQ決まりだよ。」

一瞬もう辞めようかなぁ、と思ったけどはっきり言われたわけじゃないからとにかく残りも頑張って走ることにした。それでも頭のなかでは「あーあ、あーあ、あーあ、なんで最初Leeが来た時にコースに入るな!ってハッキリ言っておかなかったんだろう。」と自分を呪う。

そんなんでFinishまではツライとかキツイとかよりもそれで頭いっぱいで知らない間に最後の花道まで来てた。
Finishラインの登りでは沿道にTomokoちゃんやLA軍団が応援してくれていた。
愛想もちゃんとふりまけないまま最後の力を振り絞って駆け抜ける。

まぶしいFinishライン。
「Yoshie Yabu form NY! You are Ironman!」と例のアナウンス。
でも全然うれしくない。だってDQかもしれないし。。。
ゴールした後5分後くらいに何故か自分の名前がまた呼ばれる。注意して聞いてなかったので名前の前に何を言っていたかわからない。きっと「You are NOT Ironman, Yoshie Yabu」とかって言われてたのかもしれない、と改めてどよよ~んとなる。

かけてくれたメダルはカボチャでこそなかったが変なお化け屋敷のものだった。
FinishersTは蛍光グリーンかなんかで蜘蛛の巣みたいなのがプリントしてあるコットンT。要らない。
なにこれ~


歩道で草を食べている(夜になったら勝手にRanchから出てきて歩道の草を食べに来るらしい)牛とまだ走ってる人を横目にBikeとバッグを取りに行く。
え? 突然電気が消えて真っ黒に。
えー、まだ走ってる人いるのに~と心配になったがすぐ戻った。そしたら又消えた。でまた戻った。
こんなとこもメキシコだ。
おいらたちには関係ないぜ


部屋に戻ったらLeeが「First Place?」といつものように茶化して迎えてくれたが、今日は素直に冗談に答える気にはなれず、簡単に事情を説明した。
「そんなことはあり得ない!」と憤慨していたが、Bikeコースでもそうだがマーシャルは一旦判断を下すと絶対覆さないのだ。

でもいいのだ。たとえDQでも今日のような過酷な環境で無事レースを終わらせられたのは自分取ってかけがえのない収穫なのだし。

AGで2位だったのでみんながお祝いのメッセージをくれる。

DQは明日のAwardでしかわからないので、もう寝ることにした。



月曜の朝は死ぬほど腹ペコだった。
レース後は疲れすぎて何も食べたくないので、一晩あけてようやく食欲も出てきた。
レストランではLA軍団とTomokoちゃんと会って昨日のレースを称えあう。
みんなはそんなのDQにならないよ。多分Alertのホイッスルだったんだよ、と言う。

面倒なことにAwardは夜で場所もSan Lucasまで行かなければならない。
みんなと一緒にTaxiで行くことにした。LeeはDQだったら俺のせいだから行きたくないって言ったが、Husbandだから来ないとダメって言って連れてきた。

Mallの2階のスペースにすごい人だかり。70.3のスロットアロケーションが始まろうとしている。
スロットの数の書いている紙を見に行く。
Tomokoちゃんがすかさず「Yabyさん、DQじゃないよ!」って教えてくれた。なんでわかるのかなぁと思ったらスロットの紙のとなりにDQリストもあった。そこに名前は無かった。

LeeにDQじゃなかったよ!って言ったら「もう心臓に悪いことはやめてくれよ~」みたいな仕草で胸を撫でおろしていた。

これでAG2位は確定。表彰台にも乗れることになった。
スロットは私のAGでは一つでRollDownはどのグループもなかった。
Tomokoちゃんは2回目のフルで4位の大健闘。でも残念ながらスロットは2個までだった。
でも私たちはすごい達成感でこのレースを終えたと思う。
表彰台までお化けなんだぜ

少なくとも私はこのレースでこれまで持っていたレースに対する考え方がすっかり変わった。
チャレンジなレースだったので、とにかくレース自体を楽しむことができた。もっと出来たことはあったけどそれも又次回へつなげられるという確信ができた。

そして、コナへの執着も何故かすっかり無くなった。もらえたらそれはそれでいいけど、どこまで自分のレースができるかのほうが私にとってはもっと大事な事だと思った。


これで2016年のトライアスロンレースは終わり。
でも来年もまたやる。
多分またCaboに帰ってくると思う。

10/30/2016
気温96F°(35.5℃)
湿度78%

Swim
01:30:38
T1: 00:03:27
Bike06:36:02
T2: 00:01:38
Run04:00:29
Overall12:12:14

あ、最後にGarminのデータ公開しておきます。
私の右肩下がりなパフォーマンスは無視していただくとして、コースなどはこれを参考にしてください。(距離短いよ)

変なトロフィー